2026/02/02 19:00
日常を送る中で何気なく動く感情や、世の中に対する意見や主張を自分にしかない声と曲で表現するシンガーソングライター・まおた。自身の誕生日である1月31日(土)代々木LIVE STUDIO LODGEにて【まおた 20th BIRTHDAY ONE MAN LIVE ~はじまりの始まり~】を開催した。
<満員の誕生日ライブ「まおたはしあわせ者ですね、本当に」>
二十歳の誕生日ということもあり、会場にはお祝いに駆けつけた超満員のファンが集結。その光景を見つめながらステージに登場したまおたは、同世代のみずなと制作したトラックにアコースティックギターの音色を重ねて「Real」を弾き語る。切なる声で「あぁ あなたの日常が欲しくって あぁ 目の前の言葉が欲しい」と愛する者への渇望を歌い上げ、冒頭から我々の涙を誘っていく。そんな叙情的なナンバーで【はじまりの始まり】の幕を開けた彼女は「まおたバースデーワンマン始めます! よろしくお願いします! 思ったより(お客さんが)入ってるんだけど。ありがとね! こんなに来てもらえるとは」と喜びつつ、髪の毛を切って初めてブリーチしたことを報告し「金々のまおたが今日はお届けしていこうと思います。今日、誕生日当日なんですよ」と話すと、客席からはお祝いの歓声と拍手が飛び交った。
これに「まおたはしあわせ者ですね、本当に」と喜びながら、気合いの入った表情でリリースしたばかりの1stミニアルバム『#ROOM19』から「奇人」を熱唱。人生の乗ったフレーズたちを矢継ぎ早に弾き語り、聴き手の心も鼓舞していく。その後も胸の内のあらゆる感情を吐き出すように「吐溜」や観客のハンドクラップをその場でサンプリングして音楽化していく「Normal」、さらには「人生ってうまくいくことばっかりじゃなくて。本当にうまくいかないことばっかりで。たまにまわりの光がまぶしすぎるぐらいにまぶしくて、目を開けることもツラいって……私自身そう思うこともすごくあるんですよ。だったら、自分は歌を書くんだったら、そんな人がいたとき、そんな自分に曲が書けないかなと思って。」と、この場にいる悩める人々の足元に少しでも光を届けるように「燈「独唱」」から「獏「独演」」と人気の“独りシリーズ”も全力で届けていく。
ちなみに、私はこの日初めてまおたのライブを生で体感したのだが、ここまで弾き語りでギターをテクニカルかつエモーショナルに弾き倒す若きシンガーソングライターがいたことに驚いた。まおたはその口から歌を届けながら、同時にギターでも歌のような演奏を響かせる。ただの伴奏ではないギター。まるでボーカリストとギタリストが並んでお届けするようなライブをひとりで体現する。そして、そのどちらもが彼女の詩世界を立体的かつ鮮明に音像化していく。だが、これだけのスキルを持ち合わせながら、それを高尚なものだとひけらかす印象はまったくなく、あくまで“誰かの心に影響を与えられるような音楽”を指標とし、それこそうまくいかない人生に必死に抗うようなイノセンスさも隠さない。むしろ、その為にあらゆる表現方法を磨いてきた印象を受ける。
<苦悩を抱える者たちの代弁者にも成り得る存在>
そんな強い個性を持つ面白いアーティストに出逢えた喜びに胸を躍らせていると、彼女は「成りきれているピーポーとギリ成りきれそうで成りきれない成りきれているピーポーがいるとして。みんなはどこにいるのかな?って思ったりすることがあって。まおたは、絶対成りきれてない側の人間だと思っているのね。髪だけ明るい奴。でも、成りきろうとして成りきれない自分がいたりとか、なりたい自分になろうとしている自分とか、ぜんぶまとめてそれはそれで「自分らしい」でいいんじゃないかって。でも、それに気付けないことも多いなって。誰かと比べることも多いし。成りきれないならそれでいいって、そんなことを思いながらつくった曲です」と、アコギからエレキギターに持ち替えて「ナリキレナイガール」を歌い始めた。
情報や流行や世間に翻弄され、特別な何者かに成りきろうとしてもナリキレナイ少女の自虐や苛立ちやもどかしさを一切隠さず歌う。それすらも熱量に変えて生きてみせようとする在り方もまおたの特徴であり、魅力のひとつだろう。その姿勢は続く「あなたの話」「やってらんないよ」でも一貫されており、前述の「燈「独唱」」披露時にも語っていた──うまくいかない人生にどうにかこうにか抗おうと必死にもがく様こそが、まおたの音楽の原動力であり、アイデンティティであるのかもしれない。その点において彼女はパンク的でもあるし、自身と同じような苦悩を抱える者たちの代弁者にも成り得る存在だと思う。
<「これからのまおたはもっと自分らしく」>
「高校生のときの部活の顧問の先生が私にミニ手紙をくれたことがあって、その手紙に「大丈夫。あなたは自由だよ」って書かれていて。きっと当時の私はそれを受け取って「有難い」と思って、当時の自分の音楽をしていたけど、二十歳になった今、やっとその自由というものが分かった気がして。「自分らしくってなんだろう、自分探しの旅ってなんだよ、自分は自分じゃんか」ってそう思いたいときもあったけど、そんな自分になりきれないときもあって。だから、二十歳になって、これからのまおたはもっと自分らしく、自分でもっと音楽をやりたいなって気持ちでいっぱいです。そして、今後もまおたがどう形を変えても、この会場がどこの会場に変わっても、変わらず今日みたいに集まってくれたら、それ以上に嬉しいことはないなって思います。今日は本当に本当に楽しい時間をありがとうございました! シンガーソングライター・まおたでした!」
そう今後の展望と感謝の言葉を告げると、彼女は「この景色を絶対に憶えていてほしい」と今この瞬間にしかない音楽空間を永久保存するように「Shutter」を歌い始める。「今はただこの瞬間を眺めていたい」とすべてのフレーズと音にみんなに対する愛おしさを隠すことなく。そして、そんな大切なみんなからの喝采を浴びながらステージをあとにしたのだが、今日はまおたの誕生日。スタッフは可愛らしいバースデーケーキをテーブルに運び、ファンのみんなはその手にクラッカーを握り締める。アンコールに応えて再登場したまおたはその光景と一斉に放たれるクラッカーの紙テープに「サプライズですか? えー、ありがとう!」と大歓喜し、客席から響き渡る「Happy Birthday to You」の大合唱に包まれながらケーキのキャンドルの火を吹き消す。
「バースデーワンマンライブ、正直すっごく不安だったんですよ。でも、それ以上に配信で盛り上げてくれる、毎回観に来てくれるみんなだったり、声をかけたら「行くよ!」って駆け付けてくれる友達だったり、先輩だったり、アーティストのお仲間さんがいて、まおたはすごくしあわせだなって感じております。本当に今日はありがとう! そうだ! 思い出した! まおたはお酒が飲みたい! それでね、みんなと乾杯がしたいの!」と、みんなにバーカンにドリンクを買いに行ってもらっているあいだ即興の乾杯ソングを披露しつつ、二十歳になって初めて飲むウーロンハイで乾杯を交わす。そして「まおたっていうひとりのアーティスト。まだなんてことないアーティストだけど、それを今日聴きに来てくれたみんなが今後もずっと続けてまおたというアーティストを聴いてくれますように。そして、まおたっていうアーティストとどんな出逢いで繋がったとしても、その繋がりがこれから先も続いていきますように」と想いを込めて、疾走感溢れるビートと華やかなトラックに乗せて「腐れ縁」を最後に弾き語る。
「出会ってしまったから もう忘れられないよ ずっと新しいままで 未来はずっと遠くて だから美しくて 何も怖くないと 何も怖くないよ きっと」──そんなフレーズを今日は目の前にいるみんなへのメッセージとして歌い放ち、満面の笑みで「二十歳になったシンガーソングライター・まおたでした! ありがとう!」と【まおた 20th BIRTHDAY ONE MAN LIVE ~はじまりの始まり~】を完成させてみせた。自分の為の音楽が今こうしてみんなの歌にもなり、この先も“誰かの心に影響を与えられる音楽”で多くの共感者を生み出していくであろうまおた。今後の動向にもぜひ注目してもらいたい。
取材&テキスト:平賀哲雄
カメラマン:Yuki Ayano/綾野裕輝
◎【まおた 20th BIRTHDAY ONE MAN LIVE ~はじまりの始まり~】
2026年1月31日(土)代々木 LIVE STUDIO LODGE セットリスト:
01.Real
02.奇人
03.吐溜
04.Normal
05.燈「独唱」
06.獏「独演」
07.ナリキレナイガール
08.あなたの話
09.やってらんないよ
10.Shutter
EN1.腐れ縁
◎リリース情報
1stミニアルバム『#ROOM19』(読み:ルームナインティーン)
2026/1/14 RELEASE(配信)
※ライブ会場&TOY’S STOREでCD販売中
TOY’S STORE:https://store.toysfactory.co.jp/collections/89
収録曲:
01.ナリキレナイガール
02.Shutter
03.Normal
04.腐れ縁
05.あなたの話
06.やってらんないよ
07.奇人
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